2018/07/17 01:09
H.A.Lcraftの清水です。
今回、喜多川泰先生からのご紹介で喜多川スペシャルスマホケースを何点かご購入頂きました。
喜多川スペシャルスマホケースに敬意を持って、今回製作工程を載せていきたいと思います。
どうぞ、ごゆっくりお楽しみ下さいませ。
まずは、こちらのコードバンを使用致します。
こちらはiPhone7用に切り出した革ですね。
機種は、ほぼ全機種対応致します。
カメラ穴なども、ケースに合わせて丁寧に開けております。
喜多川スペシャルはバスケットスタンプにするため、まずはスタンプする場所のケガキが必要となります。
ケガクための型紙を切り出します。
このようなイメージ。
このケガキの内側をバスケットスタンプで仕上げます。
バリーキング製のバスケット刻印を使用。
デザインも良く、深くクッキリ刻印できますね。
まずは二列刻印していきます。
一打一打丁寧に刻印していきます。
一つでもずれると全てがずれ始めますので慎重に。
まずは、このようにひし形を目指します。
ある程度まで打刻していったら、枠になる刻印を打ってまいります。
一周刻印しています。
まだバスケットは枠ギリギリまで打ててませんね。
これで枠ギリギリまで刻印出来ました。
しかし、これではまだまだバスケットが薄いですね
ここから何度も一度打った場所をより強く刻印します
革は初めは柔らかいので初めから強く打つと革にとってダメージとなります。
初めは優しく刻印し、全体に同じ圧力を与え革を固くしていくイメージですね。
右側角を強く刻印しました。
わかりますでしょうか。
くっきりと入ってますね。
この作業を全体的に二回繰り返します。
工程を終えるたびに革表面は硬く、圧力に耐えられる革に変化していきます。
次に枠の刻印。
こちらもまだ薄いですね。
枠もしっかりと刻印していきます。
これで刻印は完成となります。
果てしない作業になりますが、一つの作業を繰り返すことでデザインとなり形になっていく
こういうの、私は素晴らしいと思います。
次にロゴの刻印となりますが、ここから少し革の話から離れます。
喜多川スペシャルスマホケースは基本的に「喜」の文字を刻印致しますが、今回ご依頼主様からDWKと刻印してほしいとのオーダーです。
あいにく同じ文字体の刻印を持ってない私。
悩んだ結果、若木設備工業さんに刻印となる鉄板の依頼を致しました。
オーダーを引き受けて頂いた石上さん。
キャドを使って喜とDWKをレーザーで鉄板を切る作業をして頂きます。
快く引き受けて頂き、感謝しております。
AMADAレーザー切断機。
先ほどキャドで書いた文字を鉄板にレーザー切断していきます。
すごい音と共に高スピードで切断していきます。
オーダー頂いたロゴマークと同じ文字体で切り出せました。
喜の文字も一緒にお願いしてきました。
これを綺麗にバリ取りをし、磨き、革に使用できるような状態にしていきます。
さあ、これで刻印は完成です。
革の話に戻りましょう。
革が変わりますが、まずは基本仕様の喜多川スペシャルの「喜」の刻印を載せます。
まずは切り出した鉄板は土と口がバラバラの状態ですので、型紙に貼り付けます。
イメージ的にこのような感じ。
大きさもよさそうですね。
今までは私が革に書き込んでから、刻印してましたので文字のバランスや文字体もしっかりと刻印できそうですね。
プレス機で刻印した後に、枠をケガキます。
はみ出ないように丁寧に刻印致しました。
こちらが喜多川スペシャル基本仕様となります。
次にオリジナルロゴのオーダーに戻ります。
若木設備さんには2.5mm違いで6種類作って頂きました。
その中から抜擢し、こちらの大きさをチョイス。
先ほど喜でもこちらのプレス機で圧力をかけました。
最大2トンまで加圧できます。
まずは軽く位置決めしていきます。
ある程度位置も決まりすべてを加圧していきます。
こんな感じ。
ご依頼主様のイメージと同じ文字体でできたと思います。
全てはお客様の笑顔のために、行動したいですね。
さあ、裏面ですね。
コードバンの裏側、床面ですね。
私、好きなんですよね。
ふわふわしてるというか、ほかの革では味わえない独特の質感です。
この手触りを最大限に生かしたい。
それには、やすります。
粗めから、細かめまで時間をかけ丁寧に仕上げます。
最終的にカードケースとポリカケースでほとんど隠れてしまいますが、少しでも見えるなら。
こだわりたい。
いかがでしょうか。
綺麗ですね。
ずっと触ってたくなるような。
気持ちいいですね。
次はフラップ部分に取り付ける為の、コンチョ受け革を作ります。
コバ部分を手染めで黒にし、そして磨き上げます。
コンチョは一度取り付けたら絶対外れないように接着剤をネジ受け部分に流し込みます。
今回使用するコンチョは日本の古銭として使われていた本物のコイン。
こちらをコンチョとして使用致しました。
明治32年に作られた古銭ですね。
そのころに作られ、そして今私の手に渡り それをコンチョとしてスマホケースに。
レプリカでは味わえない。
人から人へ。
そしてまた大切にされることでしょう。
次にカードケース。
デザインにもこだわっております。
こちらにネーム刻印を付けます。
ビンテージメタルスタンプ筆記体です。
先ほど紹介したプレス機で圧力をかけ、しっかり刻印します。
下にBlessing of Haruleatheと刻印させて頂きました。
H.A.Lcraftの刻印も作らないとですね。
カードケースのコバ部分もしっかりやすり、黒に染め 磨き上げます。
次に本体にマグネットボタンを取り付けます。
裏側には金具が出てしまいます。
しっかり保護しておきます。
ここまでで、下処理がすべて終えました。
これから各パーツの貼り付けを行っていきます。
まずは、コンチョ部分のパーツを本体に接着。
まだまだ形が荒いですね。
これは、ひたすらにやすって形にしていきます。
いかがでしょうか。
右側をやすり、形にしました。
左と比べると綺麗なのが分かります。
両方整え、しっかりバランスをみて形にしていきます。
カードケースも貼り付けたら、コバ磨きに入ります。
磨く前にしっかりやすりがけをしていきます。
これが綺麗でないとコバは綺麗になりません。
裏側はやするとバリが出ますので、ハサミで丁寧に切り出していきます。
やすり作業が終わったら染めていきます。
はみ出ないように丁寧に慎重に染めていきます。
染が終わったら磨き作業。
これはしっかりと時間をかけ丁寧に磨きあげます。
ここをしっかりとしておけば長く使用してもボロボロになりにくいですね。
穴あけ作業に入ります。
穴あけはこちらの菱め打ちを使用しますが、これで貫通させるわけではありません。
革の半分くらいまで穴をあけるイメージ。
ほぼ印象付け程度にしていきます。
その後、こちらの菱切りで一つ一つ穴を貫通させます。
角度が大切です。
これで上から下まで同じ大きさの穴をあけられます。
菱目打ちで貫通させると、無駄に革へのダメージになり縫い目の隙間から亀裂のような跡が見えます。
もちろん、それでも問題はありませんが。
こだわりたい。
しっかり丁寧に。
縫い目がきれいに出るようなイメージで穴をあけます。
縫う作業です。
ミシンではなく手縫いにこだわっております。
ミシン縫いとは違い、ロウ弾き糸を使用しております。
普通の糸とは比べ物にならないほどの強度があります。
万が一切れたとしても、特殊な縫い方をしてるのでパラパラとほつれることもありません。
末永く使って頂きたい思いで、手縫いにこだわっております。
編み終わりですね。
裏側を見るとしっかりまっすぐ綺麗に編めているのがわかります。
穴あけですべては決まります。
先ほどの菱切りでまっすぐ穴をあけられないと縫い目もきれいにいきません。
そして縫う力。
私は、ここにこだわっております。
一縫い一縫い、同じ力で縫う。
これが意外なほど難しく、大切。
全て同じ力、そして適切な力加減で縫うことで革に悪い影響を与えないことを目的とします。
革の硬さ、やわらかさ、しなやかさ、一連のことを判断した上で縫いあげます。
ここでポリカケースを貼り付けます。
強力な接着剤を使用し、丁寧に貼り付けます。
革全体が作業により汚れていきます。
しっかり掃除をし、磨き上げ
完成と向かいます。
完成。
一つの作品に思いを込めてお作り致します。
喜多川スペシャルスマホースのこだわり
ご観覧お疲れ様でした。